MPL/BLOTCHIP®-MS法

MPLとは?

図:膜タンパク質ライブラリー(MPL)調製手順

細胞膜に存在する受容体は水に溶けないため、従来の精製、同定、性状分析といった解析フロー・技術が有効に働きませんでした。私たちは受容体をその構造特性に関わらず人工リポソームのリン脂質二重層に再構成させ、リガンド結合能を保持したまま膜タンパク質ライブラリ(Membrane Protein Library; MPL)と呼ばれる受容体が人工リポソーム上に分散したエマルジョン溶液に転換できることを発見しました。この技術(特許とノウハウ)により、培養細胞に限らずあらゆる臓器と組織に存在する受容体を大量かつ安定的に供給できるようになりました。このMPL法とBLOTCHIP®-MS法を組合わせた独自のリガンド・受容体相互作用解析技術を確立し、包括的な未知のリガンドと未知の受容体の探索・同定、さらに両者間の相互作用解析が可能になりました。

従来のリガンド探索法との違い

図:従来技術との違い

受容体医薬品は、分子標的医薬品の中で最も治療効果と安全性に優れ、世界の医薬品市場の60%(30兆円)を占めます。私たちが開発した リガンド・受容体相互作用解析技術により、生物の全身にあるリガンドと受容体を包括的に探索することが可能になりました。MPL法とBLOTCHIP®-MS法の組合わせで、従来技術では大変困難であった未知のリガンドと未知の受容体の探索・同定が実現しました。その特長は、【1】GPCR型リガンド探索で従来法に比べて高いヒット率が期待されること、【2】GPCR型以外の受容体とそのリガンドの探索も可能になったこと、さらに【3】全臓器、全細胞の受容体を含む全膜タンパク質が研究標的になったことなどを挙げることができます。

これまでに同定されたリガンドと受容体

図:受容体の構造と種類

細胞は、リン脂質の親水性頭部を水溶液側に出し、疎水性の足(脂質)同士で結合するリン脂質二重層と呼ばれる細胞膜によって、細胞内(生命)と細胞外(環境)を区分しています。受容体はリン脂質二重層との結合の仕方によって三種類に分類されます。私たちは、MPL法とBLOTCHIP®-MS法を組合わせたリガンド・受容体機能解析技術を確立し、図に示されたこれら三種類全ての受容体とリガンドの相互作用解析、構造解析に成功しました。
さらに共同研究の成果として、GPCRの新規リガンド候補同定、神経変性疾患に発現する新規受容体、血管新生活性化受容体の発見など、受容体創薬への信頼しうる技術基盤としての評価が得られました。

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